当ページのリンクには広告が含まれています。
- 小泉八雲の「怪談」に興味がある
- 翻訳もの・古典の文章が苦手で読み進められない
- 「まんが日本昔ばなし」の怖い回が好きだった
こんにちは!みずたまです。
kindle-holicはkindle unlimitedで読める不思議な話・奇妙な話を紹介しています。
今回は「新編 日本の怪談 (角川ソフィア文庫)」(著:ラフカディオ・ハーン、編訳:池田 雅之 )を紹介します。

小泉八雲の作品を読んでみたい!
でも訳文が難しいと読み進められないかも……。
そんな方におすすめの本です。
よく勘違いされていますがハーンの著作は日本語ではなく英語で書かれています。
19世紀の西洋諸国にとって、日本はまだよく知られていないミステリアスな国でした。
ハーンは自分が見聞きした日本の伝承や風習を西洋に伝えるために執筆していたんですね。
今回紹介する「新編 日本の怪談」は代表作「怪談」に、その他ハーンが収集した日本の怪談・奇談を加えて編訳されたものです。
それでは、見ていきましょう!
新編 日本の怪談
内容


今回紹介する「新編 日本の怪談」の内容について説明していきます。
基本情報
ハーンによる日本の怪談の決定版!
「幽霊滝の伝説」「ちんちん小袴」「耳無し芳一」ほか、馴染み深い日本の怪談四二編を叙情あふれる新訳で紹介。小学校高学年程度から楽しめ、朗読や読み聞かせにも最適。ハーンの再話文学を探求する決定版!
引用元:KADOKAWA 角川ソフィア文庫 「新編 日本の怪談」
集録作が多い
本書の魅力のひとつは怖い話の集録数!
ハーンの代表作「怪談」に集録された17編に加え、その他の著作からも怪談・奇談を集めて編纂されています。
集録数はこんな感じ
「怪談」より17編
「見知らぬ日本の思い出」「日本おとぎ話集」「日本雑録」などより11編
江戸時代の狂歌集「狂歌百物語」の解説より14編
計42編(!)
小泉八雲全集を除けば、kindle unlimitedで読めるラフカディオ・ハーンの怪談集としては一番物語数が多いです。(2023.11現在)
読みやすく美しい翻訳文
もうひとつの魅力が翻訳の美しさ。
編訳者は「訳者の私は、朗読にも堪(こた)えうるよう、声を出しながら翻訳をしました」とあとがきで語っています。



朗読に堪えうるってどういうこと?
ここだけ読むとそう思いますよね。でもここが本書をお勧めするポイントなんです。
参考のために本文を抜粋します。
「新編 日本の怪談 ・十六桜」より抜粋
侍は幼いころ、この桜の木の下でよく遊んだものでした。また、侍の父母も祖父母も、その親も、百年以上も昔から春が訪れるたびに、桜を愛でる歌を詠んでは色とりどりの短冊にしたため、花の咲く枝につるしました。
引用元:ラフカディオ・ハーン. 新編 日本の怪談 (角川ソフィア文庫)ーー「十六桜」
どうでしょう?
やさしくリズム感のある文章ですよね。
侍の一族は、桜を愛しながら代を重ねていった―ーそんま情景がすぐに思い浮かびます。
「音読に堪え得る」、つまりすらすらと読める文章なのが分かります。



翻訳ものにありがちな読みづらさがまったくありません!
一話一話が短いので、すぐ読み終わるのも嬉しいポイント。
寝る前や通勤途中など、ちょっとした時間に名作怪談集が読めるのはありがたいです。
「まんが日本昔ばなし」のホラー回が読める
「まんが日本昔ばなし」にはハーンが収集・リライトしたお話が多くあります。
ここではホラー回で有名なタイトルを調べてみました。
| まんが日本 むかし話 | 新編 日本の昔話 |
| ふとんの話 | 鳥取の布団の話 |
| 幽霊飴 | 水飴を買う女 |
| 雪女 | 雪女 |
| 耳なし芳一 | 耳なし芳一 |
| おいてけ堀 | むじな |
タイトルの対応表
「鳥取の布団の話」は印象に残っている人も多いのではないでしょうか?
古物商から買った布団から、夜な夜な「あにさん、さむかろ」「おまえ、さむかろ」と声がする話です。
最初は不気味な怪異からはじまるこのお話、その裏には小さな兄弟の哀しいお話が……。



ゾッとするだけではなく、その裏に美しく哀しいドラマがある。
日本人がかつて持っていた情感がハーンの物語にはあります。
おすすめポイントのまとめ
- ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が収集した怪談・奇談をたくさん楽しめる
- すらすらと読める訳文(スキマ時間で読み切れる!)
- 美しく懐かしい、しかしゾッとする話の数々
今回紹介した「新編 日本の怪談」はラフカディオ・ハーンが収集した怪談・奇談を気軽に楽しめる一冊です。



すらすら読めてノンストレス!
ゾッとする話からくすっと笑える話までとにかく読みごたえがあります
これを機会にぜひ読んでみてくださいね。
新編 日本の怪談
感想・考察
「子捨ての話」と夢十夜
本書に集録されている「子捨ての話」と、夏目漱石の「夢十夜」の第三夜は話の構造が同じです。
2つとも「過去に人を殺した父親が」、「腕の中の子供に」、「『お前が私を殺したのはこんな日だったね』と言われる」――というあらすじです。



まさかのネタパク……!?
というわけではないです!
同じルーツから生まれた話のようなので調べてみました。
今回のキーワード
六部殺し
六部殺し(ろくぶごろし)は、日本各地に伝わる民話・怪談の一つ。ある農家が旅の六部を殺して金品を奪い、それを元手にして財を成したが、生まれた子供が六部の生まれ変わりでかつての犯行を断罪する[1]、というのが基本的な流れである。最後の子供のセリフから、「こんな晩」とも呼ばれる。
(wikipediaより抜粋)
ここで「子捨ての話」と「夢十夜」、それぞれの最後のこどものセリフを見てみましょう。



お父っつぁん、あんたがしまいにわたしを捨てなすった時も、今夜のように月のきれいな晩だったね



文化五年辰年
だろう(略)、御前がおれを殺したのは今からちょうど百年前だね
夢十夜は多少違いますが、「おまえが前世の自分を殺したのはこんな夜だね」という、まさに「こんな晩」のパターンですね……!
日本各地に~という通り、ハーンの「子捨ての話」は山陰地方の昔話である一方、津軽地方にも「六部ば殺した話」として同じ型の話が伝わっています。
最古の型は日本霊異記にみられ、なんと成立は西暦822年頃(!)だそう。



自分の子は過去に殺した被害者の生まれ変わりだなんて、究極の因果応報ですね。だからこそ民話になるんでしょうけど……。
というわけで、二人は同じ民話をモチーフにしたことが分かりました。
ただ構造は同じでも、ハーンと漱石では作品の印象が全く違います。
漱石の「夢十夜」では、こどもは最初から最後まで不気味な存在として書かれています。また、殺人は親子の前世で行われています。
それに対してハーンの「子捨ての話」は、貧困からとはいえ、何の罪悪感もなく我が子を川に捨て続けた男の因果応報話になっています。
貧困から脱し、初めて子供を育て愛情をもつ。しかしその子は過去に殺した子供たちの生まれ変わりで、自分の罪をつきつけられる――。つまり愛する我が子のうしろから、過去に捨てた子供たちが見つめてくるわけです。
ハーンの育ちは薄幸で、自分と母を捨てた父に複雑な感情を持っていました。「こんな晩」の説話に自分を重ねていたのかもしれませんね。
今も広がる小泉八雲の世界
文明開化して間もない時代。アイルランド出身の新聞記者が日本にやってきて、民話を収集し「怪談」という本にした――。
ラフカディオ・ハーンこと小泉八雲は、これだけでひとつの物語になりそうなほど魅力的です。
小泉八雲の世界をもっと知りたい方は……
八雲会公式サイト (クリックでリンク先に移動します)
ハーンの教え子たちが作った「八雲会」の公式サイト
ハーンに関する本・イベント情報がチェックできる
おすすめはイベント情報!
ハーンの玄孫・小泉凡氏が案内する「ゴーストバスのミステリーツアー」、秋のケルト市への出店情報など、わくわくするイベントがチェックできます。



ヤン・シュヴァンクマイエルの怪談展をここで知りました。
「怪談」の新装版・限定品は不可解な夢のような雰囲気がとても素敵です!いつか手に取ってみたいです。
アートとの親和性も高いラフカディオ・ハーンの世界。
今回ご紹介した「新編 日本の怪談」を入り口にして、ぜひ楽しんでみてくださいね。



